ちゅぱお と ちゅぱみ - へっぽこ父さんの育児日記 -

愛すべき息子と娘のわんぱく日記。 でも、稀に趣味日記も書きますよ^^

旅人  


先週の土曜日、会社に出勤すると、会社の駐車場に 異質なもの を見つけた。

ここで、冒頭から補足説明をしよう。
うちの会社は、県内でも交通量の多い国道に面してはいるが、
会社にはその国道から直接ではなく、ひとつ県道に折れたところから入る。
つまり、1本入ったところ に、会社の玄関および駐車場があるということだ。
また、その県道はショッピングセンターに通じる道でもあるため、
位置的には、交通量の多い国道とショッピングセンターとの間、ということになる。
交通の便および買い物には、都合の良い場所と言えるだろう。

これを前提に踏まえて、今回の話しになる。

駐車場に入ってすぐ、その異質なものが目に飛び込んだ。
駐車場の端っこに置かれた荷物…、いや、荷物と言うにはどことなく不自然さがある。

ココ敷地内だぞ? うちの社員の誰かの荷物か? と思い巡りながら車を止める。

チラっと見た感じ、大型のバッグらしきもの、また大型の黒いケースらしきもの、
それと寝袋…、が、寝袋はソレとわかるほど、確実に 中に何かが入っている のが分かる!
瞬時に ヤバイ空気 を感じた。

あきらかに だ。

会社にはすでに別の社員が出勤していたが、しかし玄関の鍵は閉まっていた。
聞くと、その社員も寝袋の盛り上がり具合で人だと思い、怖くなって鍵を閉めたそう…
寝袋に完全にすっぽりと潜り込んでいるので、どういった人なのか分からない。

今は11月も半ば。深夜・早朝は結構寒い。出勤時の朝9時でも十分寒い。
こんな、屋根も何もないどこぞの会社の駐車場の片隅で誰が好き好んで寝ようと思う?
へたしたら 事件性 があるのかもしれない…。そう思うと確かに怖い。

さてどうする? 思い切って声をかけてみた方がいいか?

正体不明だが、あきらかに人を内包している寝袋。身動きなし。その傍に大きなバッグ…
休日早朝で交通量は少なく、しかも1本入ったところなのでさらに静か。
ショッピングセンターは10時オープン。つまり、周辺には他の人も車も、特にない状態。

この異様な空気感の中にいると、この決断が ほいほいと出来ないことが分かるだろう。

ふたりで思案する。身の安全を考え、もよりの交番に電話をするべきか?
それとも会社の警備保障にでも連絡を入れるべきか? こんな状況、初めてだ。

…と、そこに会社の上司が出勤してきた。すぐさま現在の状況を説明…
で、やはりこのままではイカンだろう、と、意を決して声をかけてみることに決まった。

3人で声をかける。

寝袋がもぞもぞと動き、出てきたのは 坊主頭の男の人 だった。
大きなバッグはリュックサック、黒いケースはギターケースだということが判明。
そう、旅人 だったのだ。

まずは、この寒い中、駐車場で寝ていた彼に、温かいモーニングコーヒーを淹れてあげる^^
(彼の事は、便宜上 「旅人」 とします)

聞くところによると、この旅人、福岡から奈良まで徒歩で旅をしているのだそう
しかも昨年夏に挑戦して途中で引き返すことになり、今回はリベンジでもあるとのこと。
何故そんな旅をしているのか? 尋ねてみると奈良に10年来の友人がおり、
その友人に逢うためだけに旅をしているのだとか…。はい、その友人は女性でした^^

「つまり、その彼女にプロポーズをしにいくの?」

誰もが思うことを聞いてみた。だが、どうやら違うそうだ。ただの友達だという。
普通に新幹線でも使えばいいのだけれど、それだと味気がないらしく、
自転車での旅も考えたけど、奈良までの間の旅をより充実させたいとの思いから、
徒歩で行くことに決めたそうだ。

毎日、寝泊りする場所の確保に苦労するそうだが、ちょうど国道から1本入ったとこで、
明日の朝にぶらっと寄れそうなショッピングセンターもある、ここを見つけたので、
土曜は会社もお休みだろうと思い、使わせてもらったとのこと。なるほどね…

これまでも地元の人に不審がられ、通報されたり、お巡りさんに声をかけられたり、
まぁいろいろあったそうだ。その相手の気持ちは 今日リアルに体験したからよく分かる。

彼は、現在は自由気ままな旅人なので、もちろん無職。
旅の資金だけをバイトで稼ぎ、秋から来年の春までかけて、福岡→奈良間を往復するそうだ。
これからどんどん寒くなるというのに、徒歩旅行&路上宿泊とはまったく恐れ入る。
バイタリティ豊かと言うには言葉が足りない、そんな行動力溢れる男である。

私は妙に興味を持ち、この旅人と、何だかんだと2~3時間ほど話した。

時間をかけて、いろんな人に出逢い、いろんな話しをして、いろんな経験を積める旅。
誰もが 「若いうちにしか出来ないことだね」 と言う。
でも、そう悟ったように話す大概の大人は、それをする勇気すらないのではないだろうか?

若いからできるのではない、やろうとする 勇気と努力 を持っているからできるのだ。

夢を語ることはいくらでもできる、願望をつぶやくことなんて誰もが日常茶飯事だろう。
でも、「それを実現する勇気はある? 努力ができる?」 と聞かれたら、
ほとんどの人が、できない言い訳を冗舌に語り出すのではないだろうか?

旅人と話していて、ふとそう思った。

別にこうした旅をする人を崇拝しているわけでも、諸手を挙げて褒め称えるわけでもない。
でも、彼は夢を実行している。 それが心に響いたのだ。

昨今、独身の20~30代で定職についていない人は、世の中にたくさんいるだろう。
でも、家に籠りきって嘆いているばかりではなく、その部屋の窓から仰ぎ見える、
日々移ろいゆく世の中という景色の中に、勇気を持って飛び込んでみれば、
世界がどれだけ広く、またどれだけ多くの人間が生きているのかが、肌で感じられる。

世界人口が70億人を突破した今、
その70億分の1である 自分 というひとりの人間の価値を、見直す機会は貴重だ。
誰もが自分だけに与えられた人生を背負い、誰もが価値ある生き方を送っているはず。

目まぐるしい日々の中、ふとそれを忘れがちになる。それはとても もったいない。

あなただからこそ求められ、あなただからこそ必要とされる。
そうした人が、物が、場所が、実は自分の周りにたくさんあることに気づいていない。
自分を見直す機会、それは大切な ソレ に気づくことでもあるのだ。

旅人は言う 「生涯、出逢うはずのなかった人と、こうして話せることが嬉しい」 と。
今ではネットでも全国の人と出逢える。しかし、それとこれとはまったく異なるだろう。
彼は今、我が人生の中で 毎日生きた経験を体感しながら生きている。 そこが羨ましい。

一度きりの人生、後悔しないための近道は、思いを 行動に起こすこと。
思うだけでも、語るだけでも、ましてやぼやき嘆くだけでは何も生まれない。変われない。

この旅人も、自分の人生、自分の生き方を考え、何かを変えたいがために歩み出したはず。
誰もが自分の置かれた立場で “このままでいいのか?” という漠然と感じる不安感を、
彼もまた抱え、旅の道中どこかで、「俺は何してるんだろう…」 と、思うこともあるだろう。

でも、迷い悩み、それでも諦めずに最後まで前進し続けるからこそ、得られる道があり、
いつか、望んでいたひとつの答えに辿り着けるのだと、私はそう考える。

願わくば、(彼はそうじゃないとは言っていたが) 奈良の彼女に熱いプロポーズをして、
この数ヶ月間に渡る人生の旅を、是非ハッピーエンドで締めくくって欲しい^^

そんな珍しい出逢いがあった、というお話しでした。



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