ちゅぱお と ちゅぱみ と ちゅぱろう - へっぽこ父さんの育児日記 -
1歳児くんと兄妹のわんぱく日記。 でも、稀に趣味日記も書きますよ^^
吹奏楽部部長 
2021/07/20 Tue. 18:00 [edit]
ちゅぱみ、吹奏楽部の全国コンクールの本番が、もうすぐそこまで迫って来ている。
今年に入部した1年生はもちろんだが、昨年はコロナで大会が中止になっており、2年生も未経験。
かろうじてちゅぱみたち現3年生が、1年生の時に参加したっきりという、全国大会。
だけど、その3年生は片手で数えられる人数しかいないため、大舞台の経験が圧倒的に足りない。
ちゅぱみは部長として、とても大きな不安に駆られ、押しつぶされそうだった。
経験豊富な3年生の少なさ、2年生の本気の足りさな、1年生の技術力の低さ。全てが不安要素。
今更3年生は増やせないし、大会未経験の2年生に同じ意識を持たせるのも難しい。
そして1年生は入部してまだ3ヶ月弱。一番人数が多い学年が、一番未熟で心許ない状況。
ちゅぱみは何度か嘆いた。「こんなの無理だよ。うまく行くわけないよ」
部長という重責。自分が頑張って引っ張っていかないと、とても高みになんて上れない。
だけど、その自分自身も努力の結果が実った、という経験が未だにない。
一体どうすればいいのか…。受験生でもあるちゅぱみは、もう全部を背負い込むのが無理だった。
そんな中で、全国大会前の前哨戦として、地区大会が行われた。
まだまだ全体練習が不足しており、納得のいく演奏なんて一度として出来ていない状態だが、
それでも時は止まってくれない。

一般客として、地区大会をホールで聴いた。自分たちのような素人耳では上手に聞こえた、が、
やはり演奏に細かなミスがあったようで、とても満足の行くものではなかったそう。
「もしかして恥ずかしい結果になるかもだから、お父さんお母さんを全国大会に招待したくない…」
ちゅぱみはこう言った。それはそれは寂しい発言だった。
「全体のハーモニーとか音程の細かなミスとか、そんなことは分からない。でもね、おとさんは、
大舞台に立つちゅぱみを観たいんだ。頑張ってきた娘の姿だけを観に行きたいんだ」
おとさんはこう告げた。ちゅぱみは顔を伏せ泣きながら、ただただ 「ありがとう」 と言った。
今年の吹部は、ちゅぱみたち3年生が主役になる年。
まさに自分たちの音で、色で、吹奏楽部というキャンバスを染め上げる、晴れ舞台の年なんだ。
2年生はその演奏に陰影を付ける役。1年生はその演奏に新しい色を添える役。
全体では20数人いても、その中で3年生は片手の数しかいない。色が増えても塗り手が少ない。
それで他校とどう競い合うのか。経験豊富な3年生がいる学校とどう渡り合うのか。
そりゃあ、ストレスを抱えても仕方のない状況だと思う。
ちゅぱみはそこまで芯が強い子じゃない。発言は強くでも、心根は繊細でもろい。
もう何度、負けそうになったか分からない。挫けて、部活の練習に出れない日もあったと思う。

本番目前の、大きいホールでの最後の練習。
やっと全体がまとまってきた、とちゅぱみが言うようになった。実際にいい演奏に聞こえた。
中学校の顧問の先生とは別に、他校などから臨時で各楽器を指導する先生を呼ぶこともある。
その指導を受けた際に、ちゅぱみは初めて褒められたそうだ。
ちゅぱみが扱うのはコントラバス。自分たちの吹部では唯一の弦楽器となる。
他でも弦バスを入れる吹部は少ないそうで、だからこそ一層、ちゅぱみの演奏が光っていた、と。
ちゅぱみはすごく喜んだ。ものすごく喜んだ。
顧問の先生があまり褒めない性格なので、より外部の人に褒めてもらえたのが嬉しかった。
誰もが自分の演奏に不安を抱えている。それも全国大会間近だ。
ナーバスになるなと言われても、誰もがナーバスになる。普通にしていられるわけがない。
そんなちゅぱみの、部長の心を、その褒め言葉が救ってくれた。
きっと誰もが思っているよりも遥かに、ちゅぱみの心に、力と勇気を与えてくれたことだろう。
その日、初めて嬉し泣きをしたそうだ。
そうしてちゅぱみは持ち直し、いざ全国大会本番へと挑む。
泣いても笑っても一回っきりの勝負。めいっぱい後悔の無い演奏を願うばかりだ。
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